コタロさんの独り言

こたろうさんの独り言を書いていくブログです。


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専門医制度の導入を急げ(日経新聞:井伊雅子 一橋大学教授):この見出しはミスリードを誘発する。各学会の専門医制度はちゃんとある。必要なのは標準化。

日本経済新聞の私見卓見欄からです。

www.nikkei.com

一橋大学教授の井伊雅子氏による専門医制度の導入を急ぐべしという意見です。

この記事を読むと世界各国には専門医制度がきちんと存在するのに、日本では2年の初期研修制度があるだけでその後は野放しであるかのような印象を受ける。

日本でも諸外国から数十年遅れてようやく専門医制度導入の動き出てきたものの、諸団体の反対で導入が延期されている。

というように書かれている。

実際には、各学会による専門医制度はすでに存在しており、現在「日本専門医機構」が行っているのは、その標準化作業だ。

たとえば、内科学会。

www.naika.or.jp

内科認定医というものがある。1968年に内科専門医制度として発足しており、50年近い歴史があります。多くの内科医は、3年くらいでこの内科認定医を取得し、その後にそれぞれの専門に応じて、循環器科だったり、消化器科だったりの専門医を取得します。さらに多くの人は専門医から指導医へと修行していくわけです。

これは、内科に限らずほとんどの領域で行われていることです。

医療経済の専門家である井伊教授がこのような基礎的なことを知らないはずがありません。文字数の都合があるとはいえ、明らかにミスリードをさせる記事であると思います。

すでに存在する専門医制度ですが、問題点も存在します。各学会に任されている制度ですので、非常に容易に取得できる専門医から試験や受験要件が非常に厳しいものまで様々です。

旧制度の中で難しいことで有名なのが、脳神経外科の専門医です。優秀な人が多い(医師をしている友人談)脳外科医が、試験前の一定期間、臨床の現場の仕事をかなり軽減してもらって試験勉強に励むらしいです。

そこで、日本専門医機構というものを作ってある程度専門医の能力を標準化(最低保証?)しようということになったわけです。

簡単に言えば、各学会の専門から専門医機構の専門医への移行に伴って受験資格となる研修の方法や条件などに関して、厚生省のお役人と臨床の現場(特に地方の現場)とで意見の齟齬をきたし、反対が大きくなって2017年の導入が延期なったというわけです。

 

結局、どこの業界でもありがちな

「お役人の机上の計画と実際の現場の対立」

というストーリーです。

 

くりかえしになりますが、全国紙に意見を表明するような教授がこのような基本的なことを知らないとすれば恥ずかしいことであると思います。

また、知っていてこのような記事を書いたのであれば役人へのおべっかでしょうか。それとも専門医機構への天下りでも目指しているのでしょうか(注:私のただの妄想です)

 

さらに、井伊教授は次のような記載もしています。

そもそも先進国として日本に専門医制度がないのは奇妙だ。各臨床分野をリードする医師のほとんどが海外でトレーニングを積んでいる。

今まで書いてきたように日本には各学会の専門医制度があります。

また、多くの医師が海外へ留学しているのは研究のためです。研究留学をしてるだけで、臨床留学している人は少数派でしょう。留学経験のある医師の多くがアメリカでの医師免許を持っていないことからもそれは明らかでしょう。

このように非常に事実関係の記述に大いに問題のある記事でした。一橋大学教授(医療経済)とありましたので、医療経済以外のことを本当に知らないのであれば、自分の無知をさらけ出すような記事を公表しなければいいのに、と思った次第です。