コタロさんの独り言

こたろうさんの独り言を書いていくブログです。


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幼児教育「無償化」は意味がない(日経新聞:赤林英夫慶応大学教授)人気取りに走らず、このような専門家の意見を政策に反映させるべきだ。

日経新聞:私見卓見欄の教育経済学を専門とする赤林慶応大学教授の意見に対する感想を少し。

www.nikkei.com

主な主張は、次の3点。


・幼児教育に公的資金を投下する政策の根拠として使われる所得上昇や経済成長への寄与度が高いというヘックマン氏の研究は、教育機会にめぐまれない就学前の子どもに質の高い教育を施した時の効果であり、ほとんどの子供が幼児教育施設に通っている現在の日本には当てはまらない。

 

保育所や幼稚園の保育料は、低所得者世帯ではすでに減免措置があり、一律無償化の恩恵を受けるのは貧困世帯ではなく中高所得世帯である。

 

・一律の無償化により、本来保育園の定員拡大や質向上のための支出の財源が減少してしまう可能性がある。


アメリカの就学前教育の現状について、経済協力開発機構の統計から、何らかの幼児教育施設に通っている比率は、4歳で68%、3歳で39%(日本では4歳で95%、3歳で69%)と先進国の中で最も普及が遅れている国であると指摘しています。

つまり、ヘックマン氏の研究は、米国のような就学前教育の普及が遅れている状況であり、ほとんどの子供が保育園や幼稚園に通っている日本においては公的資金投入の効果は得られにくいだろうということであり、最もな指摘であります。

 

さらに、日本の場合は、4歳児の95%が幼児教育施設に通っていることからもわかるように、低所得者世帯の子どもであっても保育園や幼稚園に通っているわけです。
それは、低所得者層に対する保育料などの減免制度が整っているから可能なわけであり、一律の無償化は今まで保育料・授業料を支払ってきた層、つまり中高所得者層にしか恩恵がないことになります。

 

そして中高所得世帯では、この恩恵により習い事などの他の教育をさらに充実させることが可能となって教育の格差拡大する可能性さえあるというわけです。

 

このようにあまり効果が期待できない政策に資金を投入することにより保育園・幼稚園で本来必要とされている予算のための財源を食いつぶしてしまうことを危惧しています。

 

政府や国会議員においては、人気取りに走ったり、キャッチフレーズに惑わされたり、することが多いので、きちんとしたデータに基づいた専門家の意見をしっかり聞いて理解してほしいものです。


幼稚園で「授業料補助の所得制限撤廃を!」などという署名集めがなされて、実際にある年から我が家でも補助の恩恵にあずかるようになった時にはわたしも税金の無駄だと感じたわけです。

小分けにして配ってしまうと大したことない金額でも市や町がまとめて使えば有意義に使えるのに市長が人気取りの政策に走ってしまったのでしょう。

データに基づいた議論に関しても少し言えば、少し前に財務省が文部省の少人数教育の推進に注文を付けた時の事を思い出します。いろいろと感情的な反対意見が出ましたが、きちんとした研究データをもとに反論した意見はあまり見られなかったです。それもそのはずで、研究では少人数教育の成果は限定的である可能性を指摘するものが多かったからなのです。


これに関しては、財務省の指摘はかなり正しかったわけで、データに基づいた議論の重要性を改めて感じました。

また、今回のヘックマン氏の研究のように、上辺の結論を都合よく使うのではなく、一つの結果がどのような条件下で導き出されたのかというところまできちんと検証して理解している専門家の重要性を認識させるものです。

 

どのような政策においてでも、政策を検討する側も批判する側もきちんとデータに基づいた議論がされるようになることを強く願っています。ただ、ここに既得権益を守る抵抗勢力が口を出してくるのでなかなかそうはいかないのでしょうね。